いよいよサニーちゃんにイベントのことを話す。
「軽度認知障害」という言葉にサニーちゃんはどんな反応をみせたのだろうか？
軽度認知障害（MCI）のイベントがあることを、そっとサニーちゃんに話してみた。「この会、ちょっと勉強になるんだよね。もしよかったら、一緒に行かない？親子で参加すると、記念に写真も撮ってくれるんだって。藤岡弘さんも来るみたいよ。」
すると、サニーちゃんは少し不思議そうな顔をして、「あら、その勉強会に行くと、何か資格がもらえるのかしら？私もね、ジムを辞めたら、何かできることがあれば（働きたい）と思っていたの。」と、思いがけないことを言い出した。
少し戸惑ったけれど、イベントに行くこと自体は前向きな返事。それは、ほんの少しだけ、私の心を軽くしてくれた。このイベントをキッカケに、サニーちゃんと認知症のことを話し合いたい。できるなら医療機関にも連れて行きたい。今ならまだ間に合うかもしれない。
ただ、サニーちゃんには、ドタキャンしてしまう癖がある。その心配が、いつも私の頭の片隅にある。だから「明日は一緒にお出掛けだよ」とできるだけ穏やかな声で、でも、どこか楽しげな雰囲気を保つように心がけた。
数日前には、「通帳泥棒」なんて、とんでもない疑いをかけられてしまった私だから、これ以上、サニーちゃんを不安にさせるようなことは避けたい。念のため、イベントの前日は実家に泊まることにした。
夕食は、サニーちゃんを丸源ラーメンへ連れて行った。「こんなところ初めて」と、少し驚いたような、でも嬉しそうな表情を見せてくれた。和やかな時間を過ごし、その夜は静かに眠りについた。
サニーちゃんは、普段は眠れないと言うことが多いけれど、その夜は深く眠っているようだった。翌朝は、穏やかな朝を迎えることができた。今のところ、特に変わった様子はない。
果たして、私たちは予定通りイベントに参加し、そして、ささやかな願いである親子写真を撮ることができるのだろうか。そして、心の中で願った。「今日は楽しい1日にしよう」私はひそかに気合いを入れた。
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