※この記事は、親の銀行印を紛失し、「手続きで口座凍結されたらどうしよう……」と不安で押しつぶされそうなあなたに向けて書いています。
1. 決戦の朝:お腹が痛い姉と、ピクニック気分の母
ついに「その日」がやってきました。 紛失してしまったサニーちゃん(母)の銀行印を新しく登録し直すため、オネちゃん(姉)と私の3人で、地元の信用金庫と地方銀行を巡る決戦の1日です。
もし窓口で認知症だと判断され、意思疎通ができないとみなされたら、その瞬間に【口座凍結】という一発退場のリスクがあります。
そのプレッシャーたるや凄まじく、オネちゃんは緊張のあまり朝からお腹が痛くなってしまったほどでした。 対するサニーちゃんはといえば、「今日は何を着て行こうかしら〜♪」と、まるでピクニックにでも行くようなお出かけモード。前々日までのあの激しい嵐(物取られ妄想)が嘘のような、呑気な調子でした。
私たちは事前に「少しでもサニーちゃんの心に闇(被害妄想やイライラ)が出てきたら、その日は中止にしよう」と固く決めていました。幸いにも滑り出しは好調。いざ、最初の目的地である信用金庫へと車を走らせました。
実はこの日のために、オネちゃんと私は2週間前からサニーちゃんに、ある「特訓」をお願いしていたのです。
「サニーちゃん、自分の住所、氏名、生年月日、電話番号をノートに書けるように練習しておいてね」
何回練習してくれたのかは分かりません。でも、この事前の準備が、後ほど大きな意味を持つことになります。
2. 最初のつまずき:窓口で大慌て!まさかの「あちゃー」な大失敗
最初の信金さんに到着し、緊張の面持ちで窓口へ向かいました。 「すいません、改印の手続きをしたいのですが……」
私たちが切り出すと、窓口の行員さんからごく当たり前の質問が返ってきました。 「かしこまりました。では、ご本人様の身分証明になるものはお持ちですか?」
ーーその瞬間、私とオネちゃんは凍りつきました。
「あちゃー……!!!」
慌ててサニーちゃんの財布の中を覗き込んでも、入っているのはスーパーの会員カードばかり。肝心な身分証を実家に忘れてきてしまったのです。緊張しすぎて、初歩的なチェックが漏れていました。
「す、すみません! 今から大急ぎで取りに行ってきます!」 焦る私たちに、行員さんは「では、念のためにお口座のキャッシュカードも一緒にお持ちくださいね」と優しく教えてくれました。
3人でバタバタと車に飛び乗り、実家へUターン! マイナンバーカードとキャッシュカードを無事に引っ掴み、息を切らせながら信金さんへ再チャレンジの門を叩きました。
3. 信金さんでのハードな特訓:家族が文字を「伝える」というチャンス
結論から言うと、この日巡った金融機関の中で、最初の信金さんが一番厳しい対応でした。
まずは「印鑑の紛失届」を書き、それが終わってから「改印手続きの書類」に記入しなければなりません。さらに信金さんでは「書類の訂正印が使えない」というルールがあり、手が震えてしまうサニーちゃんは、なんと3回も最初から書き直す羽目になってしまったのです。
緊迫した空気が流れる中、オネちゃんがサニーちゃんの隣にそっと寄り添いました。 「サニーちゃん、ゆっくりでいいからね。まずは郵便番号から書こうか」
住所、氏名、生年月日、電話番号……オネちゃんが隣で一つ一つの文字を、優しく、ゆっくりと耳元で伝えていきます。 サニーちゃんは途中で、郵便番号と番地、電話番号や今日の日付が頭の中でごちゃ混ぜになってしまい、混乱しかけました。(事前の練習がなければ「もう、無理だわ!!」となっていたかもしれません。)それでも、窓口の方も急かすことなく、優しく「生暖かく」見守ってくださったおかげで、なんとか自筆で全ての書類を書き終えることができたのです!
この信金さんでの厳しい特訓(?)のおかげで、サニーちゃんは大きな自信をつけたようでした。
次に向かった地方銀行さんでは、まさに「楽勝」の展開が待っていました。 窓口で改印の手続きをしたい旨を伝えると、行員さんから「ご自分で書けますか?」という質問が。その声のトーンは、「もし難しければ、ご家族が代筆していただいても大丈夫ですよ」という温かいニュアンスを纏っていました。
とても丁寧に対応していただき、サニーちゃんが書類に記入している間に、行員さんが先回りして受付番号を取ってくれるというスマートな配慮まで。記入した書類と一緒に、通帳、新しい印鑑、そしてマイナンバーカードを提出し――。
「はい、これで手続きは全て完了です」
その言葉を聞いた瞬間、私とオネちゃんの肩から、ようやく巨大な重荷がすっと下りていきました。口座凍結という最悪の事態を免れ、無事に新しい印鑑への変更が完了したのです!
4. 【完全保存版】認知症の親の「改印手続き」で介護者が気をつけるべき3つのこと
金融機関や窓口の担当者によって対応は様々だと思いますが、我が家の実体験から学んだ「これだけは絶対に準備しておくべきこと」をシニア介護者の皆様へシェアします。
⚠️ 銀行での改印手続き・必須チェックリスト
- ① 事前に「住所・氏名・電話番号」を書く練習をしてもらう すらすら書けなくても、家族が隣で「次は〇〇だよ」と一つずつ文字を伝えて、本人がそれをなぞって書けるうちが最大のチャンスです。住所を書くときは「郵便番号」から順番に伝えてあげると、親の頭が混乱しにくくなります。
- ② 身分証明書(マイナンバーカード等)とキャッシュカードはセットで持つ 私たちのようなど忘れを防ぐためにも、当日は必ず事前に確認を!カードがあることで手続きがスムーズになります。
- ③ 口座の「暗証番号」を事前に把握しておく 窓口での手続きの際、機械に暗証番号を入力するよう求められました。親が忘れてしまっている可能性が高いので、事前に家族が確認・把握しておくことが必須です。
5. まとめ:緊張の1日を終えて
本当に、口座凍結にならなくて良かったです……!
今回、窓口の行員さんたちがとても慣れた様子で優しく対応してくださった様子を見て、「あぁ、我が家と同じように、印鑑を無くしてドキドキしながらここへ来るご家庭が、世の中にはたくさんあるんだろうな」と肌で感じました。
家族が文字を教えて、本人がペンを握って書けるうちは、まだまだ道は開けます。 本当に心臓がバクバクする緊張の1日でしたが、諦めずにオネちゃんと挑んで本当に良かったです。
新しく登録した大切な銀行印は、事前の計画通り、家庭用金庫を購入して私たちで厳重に管理することにしました(もちろん、サニーちゃんの尊厳も大切にしつつ、です!)。
この記事が、今まさに同じように銀行の前で足がすくんでいる介護者の皆様の、小さなお守り(一助)になりますように。
(物取られ妄想のゾンビ化・完結)

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