※この記事は、親の理不尽な態度に疲れ果て、「もう自業自得だ」と投げ出したくなっている自分に罪悪感を抱えているあなたに向けて書いています。
1. 予想通りの悲劇:隠す天才・サニーちゃんとの不毛な戦い
嫌な予感というものは、どうしてこうも百発百中で当たってしまうのでしょうか。
オネちゃん(姉)が「母のプライドを傷つけたくないから」と、せっかく見つかった印鑑を元の保管場所に戻して数日。サニーちゃん(母)の印鑑は、案の定、再びどこかへと姿を消しました。
もちろん、サニーちゃんに悪気はありません。自分がどこかに隠したこと自体を、頭の中から綺麗に忘れてしまっているのです。
「ない。どうして無くなったのかしらねっ!」
再び始まった大騒ぎ。今度はサニーちゃん、オネちゃん、そして私の3人がかりで、実家の大捜索が始まりました。
しかし、認知症のサニーちゃんは、時に「隠す天才」へと豹変します。 タンスの裏、洋服のポケット、引き出しの奥の奥……ありとあらゆる場所を何時間探し続けても、大切な印鑑はついに影も形も見せませんでした。
(もう、一体どこを探せばいいの……?)
埃にまみれ、目はどんどん痒くなる。
探し続けるうちに、私の体には猛烈な疲労が溜まり、こめかみのあたりがズキズキと痛み始めました。
2. 限界を超えた本音
「サニーちゃんの生活を守ってあげたい」 その一心で、これまで実家に通い詰めてきました。
けれど、どれだけ寄り添っても泥棒扱いされ、せっかく見つけた印鑑をまた隠され、何時間も不毛な探し物をさせられる。 頭痛と戦いながら床を這いつくばっているうちに、私の心の中で、諦めというか「ドス黒い本音」がぽろりとこぼれ落ちました。
(……もう、限界だな)
(こんなに疑われて、泥棒扱いされ続けるくらいなら、もう全部投げ出してしまいたい。もしこのまま印鑑が見つからなくて口座が凍結されたとしても、それはサニーちゃんの自業自得じゃない? いっそのこと口座が使えなくなった方が、諦めがついて私もオネちゃんもラクになるのかも……)
そんな投げやりで、冷ややかな感情。私の心は悲鳴を上げていました。
けれど、感情がすり減っていく一方で、冷酷な「現実のタイムリミット」が刻一刻と迫っていたのです。
3. 現実とリスクの天秤:銀行印の変更に潜む「一発退場」の罠
このまま印鑑が見つからなければ、今後のデイサービスや介護ヘルパーさんなどのサービス契約が一切できなくなってしまいます。 これ以上、娘たちだけでサニーちゃんの「物取られ妄想」の相手をするのは限界です。一刻も早くプロのヘルパーさんの手を借りたい。そのためには、契約書類に押すための「新しい印鑑」が絶対に必要でした。
そこで、オネちゃんと私はある重大な決断を下しました。
「銀行に行って、新しい印鑑への改印手続きをしよう」
しかし、この決断にはリスクが伴います。 銀行の窓口で印鑑を変えるには、原則「本人の署名や意思確認」が求められます。前もってサニーちゃんの銀行に問い合わせたところ、本人による書類記載が必要とのことした。しかし、サニーちゃんの認知症が進んでいる今、窓口の行員さんとのやり取りがスムーズにいく保証はありません。
もし窓口で、サニーちゃんが「娘に無理やり印鑑を変えられそうになっている!」とパニックを起こしたり、意思疎通が難しいと判断されたりしたらどうなるか?
銀行側が本人の資産保護のために下す判断はただ一つ。【一発での口座凍結】です。 一度凍結された口座からお金を動かすには、成年後見人を立てるなど、途方もない手間と時間とお金がかかることになります。
「すぐに変えなきゃいけないわけじゃないから、もう少しゆっくり探そう……」
そう自分に言い訳をして、先延ばしにすること早1ヶ月。 このひと月の間にも、実家では「お金がなくなった!」「出てきた!」というすったもんだが日常茶飯事のように繰り返され、辛いです。
そして、とうとう「その日」がやってきました。オネちゃんと相談し、ついに「明日、銀行に行って印鑑登録を変更してくる」と決めたのです。
4. 明日、決戦の舞台へ。不安を胸に
新しく登録する予定の銀行印は、金庫を買って、そこで私たち(オネちゃん、ワタシ、一応サニーちゃん)が厳重に管理しようと考えています。 「本人の尊厳」を守るために印鑑を戻した結果が、今回の終わらない大騒動でした。だからこそ、今度は心を鬼にして、リスク管理を徹底する覚悟です。もちろん、尊厳を大事にしつつですが…。
明日の銀行窓口。 サニーちゃんは、窓口でパニックを起こさずに手続きを終えられるでしょうか。 行員さんに不審がられず、無事に印鑑を変更することができるでしょうか。
心の中は不安でいっぱいですが、どうか、どうか口座凍結されることなく、新しい印鑑への変更手続きが完了しますように――。
明日の「銀行決戦」のリアルな様子は、次回の【解決編】で余すことなくお届けします。
(解決編:銀行決戦編へつづく)

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