目次
- はじめに:認知症介護で「自己嫌悪」に陥る前に知ってほしいこと
- 認知症ケアのヒント:「残存機能(できること)」に注目する
- 【我が家の実体験】「できない」ばかりに目が行き、介護が苦痛だった頃
- 母(サニーちゃん)の得意と失われた自信
- なぜ、お互い口論になり苦痛になってしまったのか
- 残存能力を見つけるための実践ステップ:母の「お料理」に再点火
- 残存能力とは?:手順は忘れても残る「動作の記憶(手続き記憶)」
- 成功体験を確実にする「プロの援護」(姉の役割)
- 「褒めて育てる」役割交代で自信を取り戻す
- 気持ちは前向きに:残存機能を活かすケアの大きな成果
- スキルの保持ではなく「生きがい」と「尊厳」
- イライラが減り、穏やかな時間が増えた変化
- 最後に:介護で迷う方へ — 残存能力から見えてくる介護の道筋
1. はじめに:認知症介護で「自己嫌悪」に陥る前に知ってほしいこと
自分の身近な人が認知症になったら、どんな風に支えていこうと思いますか?
介護認定を取るのも大事ですが、「どう接すればいいかわからない」「ついイライラしてしまい、自己嫌悪に陥る」そんな悩みを抱えていませんか?この苦しさから抜け出す鍵は、認知症の方が**まだ保持している『残存機能(残存能力)』**にヒントがあるかもしれません。
過度な介護は、ご本人の自信を奪うだけでなく、介護者であるあなたの精神的な負担を激増させてしまいます。
そこで今回は、認知症の母(サニーちゃん)を持つ私が、(意図せずですが)残存能力に注目したケアを実践し、母が自信を取り戻し、私たち家族の精神的な介護ストレスが減った具体的な方法を、実体験を交えてシェアします。
2. 認知症ケアのヒント:「残存機能(できること)」に注目する
認知症になると、記憶力や判断力といった「できないこと」にどうしても目が向きがちです。しかし、認知症ケアにおいて最も大切にすべき点は、その方がまだ保持している本来の力、つまり残存機能を活かすことです。
認知症ポータルサイト「テヲトル」や「とうきょう認知症ナビ」といった公的な情報源も、ケアの指針として以下の要素を強調しています。
- 残存機能を活かし、できることは自分で行えるよう支援する
- 本人の尊厳を大事にして、できることを生かしながらお手伝いしましょう
残存能力とは、認知症になっても「その人が失っていない能力」です。この能力を活かして活動することで、ご本人は**「自分でできた」という達成感と自信**を取り戻すことができます。
3. 【我が家の実体験】「できない」ばかりに目が行き、介護が苦痛だった頃
家族や親族だからこそ、介護される人の良いところ、悪いところがわかります。正直に言えば、私たちはサニーちゃんの悪いところばかりに目が行きがちでした👀
母(サニーちゃん)の得意と失われた自信
我が家のサニーちゃん(母)は、元々運動とお料理がとても得意でした。
しかし、認知症や膝痛で以前のように歩けなくなり、大好きだったお料理も「自分で作っても美味しくない」とすっかり自信を失っていました。
なぜ、お互い口論になり苦痛になってしまったのか
母がイライラすると、私たちも感情的になり、お互い口論のようになることが増えました。サニーちゃんに対する自分の態度に自己嫌悪に陥り、どう手助けしていいか分からず、正直、実家にいくのが苦痛な時期も。
この時期は、私たち家族も母も、お互いの「できないこと」ばかりを見つめていたのです。
4. 残存能力を見つけるための実践ステップ:母の「お料理」に再点火
残存機能を見つける作業は、介護者の頭の切り替えが必要です。
残存能力とは?:手順は忘れても残る「動作の記憶(手続き記憶)」
認知症の進行により、母は料理の手順や段取りを記憶することは難しくなりました(エピソード記憶の低下)。しかし、野菜を切る動作や慣れた味付けの感覚といった体で覚えている「動作の記憶(手続き記憶)」は残っていました。
私たちはこの「お料理」という母の喜びの源に再び注目することにしました。
成功体験を確実にする「プロの援護」(姉の役割)
オネちゃん(姉)がお料理を作りに実家に行くようになってから1年が過ぎます。オネちゃんは料理やお菓子作りがプロ級の腕前。サニーちゃんはオネちゃんのそばにいられるし、美味しいものが食べられるので、オネちゃんが来る日が生活の中で一番の楽しみになりました。
休み休みですが、サニーちゃんはオネちゃんの手伝いをします。オネちゃんは、母が迷わないよう、材料や道具を配置し、「できることだけ」を確実に手伝ってもらうという完璧な「援護」体制を敷きました。
「褒めて育てる」役割交代で自信を取り戻す
もっとも、初めのうちは「もう子供の方がお料理上手だわ。あたしは抜かされたのね」と悲観的なことを言っていました。
しかし、数ヶ月経つと状況は変わりました。
- オネちゃんに対しては、「素晴らしい料理の腕前を持った娘を持っている」とオネちゃんは母の自慢になりました。
- 私に対しては、私が料理をすると「今日のはおいしいわよ。上手くなったわね!」と褒めてくれたり、「あんまりおいしくないね」と率直にコメントしてくれたりします😂。
母は、まるで料理教室の先生のように、私たち家族に対して「自分はまだ貢献できる」「まだ教えられることがある」という新しい役割と自信を取り戻した様子。これは私たちにとって、思いがけないことでした。
5. 気持ちは前向きに:残存機能を活かすケアの大きな成果
料理の手順も歩く力も少しずつ下がっている、これは認知症の現実です。けれども、気持ちの面では、1年前よりも確実に上向きになりました。
スキルの保持ではなく「生きがい」と「尊厳」
私たちの目的は、残存機能を「保持」し続けることではありません。残存機能を活かした活動を通じて、サニーちゃんに「生きがい」と「尊厳」を取り戻してもらい、穏やかな気持ちで過ごしてもらうことにあります。
イライラが減り、穏やかな時間が増えた変化
本人も自分のできないことを少しづつ受け入れられるようになってきたのです。その結果、被害妄想やイライラが減り、家族との穏やかな時間が増えました。気分が上がったり下がったりは繰り返すでしょうが、この「上向きの気持ち」を大切にしたいと願っています。
6. 最後に:介護で迷う方へ — 残存能力から見えてくる介護の道筋
どんな風に介護していったらいいか迷っている方は、まず「介護される人の残っている力(残存機能)は何か?」という視点からアプローチを始めてみてはいかがでしょうか。
できることと、できないことが介護者にとってもよくわかるので、どこまで手を出すべきか、そしてこれから先の介護の方法が具体的に見えてくるかもしれません。
このブログが少しでもお役に立てたら嬉しいです。ここまでお読みくださりありがとうございました。

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