認知症世界の歩き方:ミステリーバスで知る記憶の新常識

まめ知識

はじめに:認知症のイメージ、アップデートしませんか?

「認知症」と聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか?「何もわからなくなる」「記憶が失われる」といったネガティブな側面ばかりが強調されがちかもしれません。

私はといえば、サニーちゃんの思考に振り回され、戸惑うことばかり。そこで、仕事柄購入した『認知症世界の歩き方』という本をもう一度読んでみることにしました。
最初に読んだ時は、なんとなくしかわからなかった内容も
今は「あぁ、そうなのか。」と納得できるようになりました。

とても奥深い内容なので、今回は序章とPART 1のstory 1の内容だけをまとめました。
家族の介護をしている方の参考になれば幸いです。

今回ご紹介する書籍『認知症世界の歩き方』(著:筧裕介さん)は、認知症を患う方の「見えている世界」は、私たちのそれとは異なるだけで、そこには彼らなりの論理や意味があることを示唆しています。この本は、認知症を「特別な病気」として捉えるのではなく、「見えている世界が違う状態」として理解を深めることを目的としています。
まさにその「認知症の人の世界」を、本人視点から解き明かす画期的な一冊です。

認知症世界の歩き方

筧 裕介

定価2,310円(本体2,100円+税10%)
判型A5判並製
頁数264ページ
発刊2021年9月15日
ISBN9784909044327

私たちは普段、新しい情報を得る際に、脳が情報を「記銘(覚える)」し、それを「保持(保ち続ける)」、そして必要な時に「想起(思い出す)」という3つのステップを経て記憶を形成・利用しているそうです。認知症の場合、この記憶のメカニズムのどこかに不具合が生じることで、私たちの理解とは異なる「見え方」が生まれてしまう‥。ツライですね。

本書は「本人視点」に徹底的にこだわり、読者がその世界をまるでバーチャル体験のように追体験できる構成になっています。このユニークなアプローチにより、私たちは認知症の人の行動の裏にある感情や思考をより深く理解し、共感するための新たな視点を得ることができます。

本記事のポイント:

  • 認知症の世界を「バーチャル」で体験する
  • 「ミステリーバス」から記憶の仕組みを理解する
  • 認知症本人への新しい理解の第一歩

Story 1:ミステリーバス〜記憶と物忘れ、本当の違い〜


認知症世界の歩き方』の冒頭を飾る「Story 1」では「ミステリーバス」というユニークな設定を通して、認知症の人の「記憶」が私たちとはどう違うのか詳細に描かれます。

このストーリーの主人公は、普段利用しているバスに乗っているにもかかわらず、そのバスがどこに向かっているのか、自分がどこで降りれば良いのかがわからなくなる、という状況に直面します。これは、単なる「物忘れ」とは異なる、認知症特有の記憶のメカニズムを浮き彫りにします。

ミステリーバスの体験は、認知症の人が直面する「情報の断片化」や「文脈の欠落」がいかに不安や混乱を生み出すかを説明してくれています。彼らは単に忘れているのではなく、目の前の状況を統合的に理解し、新しい情報を適切に処理することが難しくなっているということなのです。

私自身、もし同じような境遇になったら怖くて1人で公共の交通機関を利用できなくなると思います。このストーリーを通じて、私は「忘れる」という現象の奥深さ、そして認知症の人が抱える内面の葛藤に、より深く共感できました。そして、今まで以上に「本当に困っているんだな」と想像できるようになりました。


今回のまとめ:「理解」が「怖さ」を和らげる第一歩

『認知症世界の歩き方』の「はじめに」と「Story 1:ミステリーバス」は、認知症に対する私たちの固定観念を打ち破り、本人視点からその世界を理解するための強力な導入となります。

この導入部分だけでも、認知症への「怖さ」や「不安」が「理解」へと変わり始めるのではないでしょうか。介護をされている方にとって、読書をする時間を見つけるのも簡単ではないと思います。
なので、今回簡単にですが、ご紹介させていただきました。
ここまで、お読みくださりありがとうございました。

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