先日、サニーちゃんが開口一番にこんなことを言いました。
「おもしろいことがあったのよ。えいこさんが来て一緒に寝ていたの。朝ごはんを作ってあげようと思ってフルーツを剥いたのよ。でも、まだ朝早かったから、もう一度寝たんだけど。起きたらえいこさん、もう居なかったの」
えいこさんというのはサニーちゃんのお姉さんです。もうとっくに天国にいっています。
「ん? 夢のお話?」と私が聞くと、彼女は真剣な顔でこう答えました。
「ホントの話よ! ほら、冷蔵庫にキウイを剥いてあるでしょ」
冷蔵庫に残された「証拠」
半信半疑で冷蔵庫を開けてみると……そこには本当に、皮をきれいに剥かれたキウイ3個と、刻まれたプルーンが入っていました。
おそらく、半分眠った状態で朝食の準備をしたのでしょう。 あまりにも真剣な面持ちで話すので、私も否定せず話を合わせることにしました。
「へぇ。そうなんだぁ。でもさ、せっかくフルーツを剥いてくれたから、今日のお昼に食べようよ」 そう言うと、サニーちゃんは「そうね。早く食べちゃわないといけないわよね」とすんなり納得してくれました。
現実と夢の境目:「見当識障害」とは
この出来事を通じて、サニーちゃんは現実と夢の世界との境がわからなくなってきているのだと理解しました。すでに亡くなった人を生きていると思い込んでいる様子から、これは「見当識障害(けんとうしきしょうがい)」と呼ばれる症状だと思われます。
見当識障害の基礎知識
見当識障害は、認知症の中核症状の1つとして知られています。脳の認知機能が低下することで、置かれている状況の基本的な認識が困難になる状態です。
見当識は主に以下の3つに分類されます。
- 時間: 「今がいつなのか」がわからなくなる
- 場所: 「今はどこにいるのか」がわからなくなる
- 人物: 「周りにいる人は誰なのか」がわからなくなる
一般的には、「時間の見当識」から低下することが多いそうです。
混乱と常識の間で
ただ、サニーちゃんはずっと混乱しているわけではありません。 しばらくすると常識的な範囲での会話が成立するので、常に見当識障害が出ているわけではないようです。
思い返せば、彼女はたびたびこんな発言をします。 「お化粧してもキレイにならない」 「もっと早く動けるはずなのにノロいのよ」
これらはもしかすると、自分の年齢や身体機能の衰えを認識できず、「時間の感覚」が若い頃のまま止まっていることを表しているのかもしれません。
夢の中を一緒に歩くように
今後、症状はどうなっていくのでしょうか。 いつか私のこともわからなくなっていくのでしょうか?
「あんたはいくつだっけ? おばさんだってことはわかってる」
そんな、笑えるような泣けるようなお言葉もいただけている現在は、まだ始まりなのかもしれません😆
少し切なさはありますが、サニーちゃんが見ている夢の世界で彼女を見失わないように、ちょっぴりワクワクしながら見守っていきたいと思います。コワイモノミタサ かな?

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