車を運転される高齢の親を持つ方で、どうやって免許返納を勧めるべきか悩んでいませんか?今回は、私たちの母サニーちゃんの体験を通して、親の免許返納を考える際に知っておくべきこと、そして私たちが反省していることについてお話ししたいと思います。
「真剣に運転しているのに!」危険を指摘されることへの強い反発
不便な場所に住むサニーちゃんは、日常的に車を運転していました。ジムや買い物へ行くにも車は生活必需品でした。しかし80歳を過ぎた頃から、車のへこみが目につくようになり、私たちは心配し始めました。
それでも、サニーちゃんに自覚はありません。「買い物している間にぶつけられたのよ!」と一点張り。それとなく免許返納の話を切り出すと、猛烈に怒り出しました。
「危ないって言わないで!こっちだって真剣に運転しているんだから、そんなこと言われると怖くなってちゃんと運転できなくなる。83歳までは運転する!」
なぜ83歳なのかはわかりませんが、私たちは「この歳でお巡りさんに逮捕されたら嫌でしょ?」など強い言葉で説得を試みました。しかし、こちらが強く出れば出るほど、サニーちゃんはより強硬に反発しました。
今ならわかります。運転ができるということは、高齢者にとって自立の証であり、私たちの説得は、そのプライドを傷つけていたのです。
後悔と学び。「子供にだまされた」と思われた理由
結局、サニーちゃんは83歳の誕生日を迎える数カ月前、自分で運転が怖いと感じるようになり、免許を返納しました。もし事故を起こし、人様を傷つけるようなことがあれば後悔だけではすみません。私たちはやれやれとようやく安心できました。
しかし、私たちは車がなくなった後のサニーちゃんの暮らし方を具体的に想像できていなかったのです。
バス停まで家から約20分。山を下らなければならず、半年分のバスチケットはほとんど使われませんでした。生協も利用しましたが、注文から配達までのタイムラグに慣れることはありませんでした。
サニーちゃんの頭の中には、今も「子供にだまされて免許を返納した」という思いが残ってしまっています。
免許返納を考える前に。家族で話し合うべき4つのこと
私たちの経験から、免許返納を考える際には、次の4つのことを事前に話し合っておくことを強くお勧めします。
- 交通の便利な場所に住み替える :バス停や駅、スーパーや病院が徒歩圏内にある場所への引っ越しを検討する。
- タクシーに乗り慣れる :「タクシーは贅沢品」という意識をなくすために、早いうちから乗り慣れてもらう。スマホでタクシーを呼ぶ練習をしたり、車を所有するコストと比べてみたりすることも大切です。
- どこまで親を援助できるか具体的に相談する: 免許返納後は、家族のサポートが不可欠です。買い物や通院、趣味の送迎など、どこまで手助けできるかを兄弟姉妹で具体的に話し合っておくことをお勧めします。
- 同居する: 最も安心できる選択肢と思いがちですが、十分な話し合いが必要です。安易な同居は家族全員に悪影響を与える可能性があります。
家族のサポートと社会の仕組み。安心できる未来のために
上の4つは、どれも簡単に実行できるものではありません。しかし、高齢化社会において、免許返納は避けて通れない課題です。
車が生活必需品である地域に住む高齢者にとって、運転できなくなることは「自由を奪われた」と感じても無理はありません。年を取って不自由な生活を強いられるのは、理不尽だと感じるでしょう。
たまたま近くに住んでいる私は、サニーちゃんの送迎や小さなワガママを満たすことができます。でも、たまにはのんびり過ごしたいと思うのが正直な気持ちです。
高齢者が適度な距離間で助け合い、安心して暮らせる街は作れないのでしょうか。バスが通るインフラ整備、住み替えしやすくなる仕組み、年金生活でもタクシーチケットが購入できる政策など、社会全体で考えるべきことはたくさんあります。
みなさんは、この問題についてどうお考えですか?
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