歯医者嫌いを極める認知症の母、サニーちゃん
「もう歯医者には行かない!」。そう言い放つのは、サニーちゃん(母)である。元々丈夫な歯の持ち主で、歯科医院とは縁遠い生活を送ってきた。しかし、ひとたび歯科医院を受診すると、その“卒業”宣言の速さには目を見張るものがある。
認知症の診断を受ける前から、その「歯医者さん荒らし」ぶりは顕著であった。最初はごく近所の歯科医院へ。しかし、「あそこは悪くない歯まで治そうとする」と一蹴し、通院を中止した。次に歯茎の異変を感じた際には、「絶対あそこはイヤ!大きいところに行く!」と懇願され、総合病院の歯科を受診。ところが、数回通うと今度は「先生の指が太くて力が強すぎる。怖いからもう行かない」と、またもや勝手に通院を中断してしまった。
介護保険の訪問歯科も拒否!一体どうすれば…?
そして先日、またもやサニーちゃんが「歯医者に行きたい」と言い出した。今度は「うまく噛めない」とのこと。困り果てていたところ、ちょうどケアマネジャーさんがいらっしゃる時に歯医者の話になり、介護保険を利用すれば訪問歯科診療が受けられると判明した。「やったね!」と喜んだのも束の間、サニーちゃんからは衝撃の一言が。「家に歯医者さんが来るなんてイヤ。うがいとかできないじゃない」。
結局、私自身の通う歯科医院へ連れて行くことになった。内心は「また中断するのでは…」と不安であったが、「先生は無愛想だけど腕は確かだから、今回は最後まで頑張ろうね」と釘を刺し、連れて行った。
歯科治療の結末は「自己判断での離脱」?!
今回の診察で、最終的には歯を抜くことになった。歯科医師からは「歯茎の奥が膿んでいる。噛むには支障のない位置で、年齢を考えてもブリッジなどの処置をするよりも抜いた方がいい」と丁寧な説明があった。「歯茎の治療を施しても繰り返し同じ状態になる可能性が高い」との説明もあり、本人の意思で抜歯を決定。そこまでは、本当に頑張ってくれた。
しかし、今回もまた、歯科医師から「治療は終わりですよ」と言われる前に、サニーちゃんは自ら「もう行かない」と治療を打ち切ってしまった。
歯医者界の“ROCK”?!サニーちゃんの行動から学ぶこと
私にとって大切な歯医者さんが、まるで「荒らされた」と感じられた今回の出来事。しかし、ある意味、サニーちゃんのこの「決断力」は、まるでROCKミュージシャンのようである。自分の意志を貫き通すその姿勢には、脱帽せざるを得ない。
サニーちゃんなりにきちんとした理由があり、その理由に基づいて行動をしているだけなのだが、そこには「オタマがお世話になっている歯医者さんだから、きちんとしよう」という思考は見えない。
この出来事を書きながら、いろいろなことに気を遣ってしまう私よりも、サニーちゃんの方が一本筋が通っているようにも感じてきました。彼女の行動を私の視点から「大丈夫orダメ」と決めすぎているのかもしれません💦
もっと、認知症の人の世界を知りたいものです‥。
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