※この記事は、前回の続きとなっています。お時間がありましたら、ぜひ【前編】【中編】からお読みいただくことをお勧めいたします。
涙の告白:「あんたたちがいないと、アタシ……」
「サニーちゃんの脳みそのせいなんだよ。病気のせいだから、仕方のないことなんだよ」
私がそう告げた瞬間、張り詰めていた糸が切れたように、サニーちゃんは声を震わせながら本音をぽろぽろとこぼし始めました。
「自分でも嫌になっちゃうんだけど……すぐに忘れちゃうのよ。全部じゃないの。思い出すこともあるんだけど、そうじゃないこともあるの……」
私はただ、「うん、うん」と深く頷きながら、その言葉をすべて受け止めました。 あんなに激しく私を泥棒扱いして怒鳴り散らしていたサニーちゃん。その怒りの正体は、記憶がこぼれ落ちていく恐怖と、「誰も信じられない」という孤独との闘いだったのです。
「忘れちゃうことはあるけどさ、オネちゃんとワタシがいるじゃない。困った時や不安な時は、いつでもワタシたちに言えばいいんだよ」
私が真っ直ぐに伝えると、サニーちゃんは私を見つめ、とても切実な声で言いました。
「うん……。あんたたちがいないと、アタシ、死んじゃう」
胸が締め付けられるような、親からの SOS でした。 でも、これ以上シリアスな空気のまま引きずるわけにはいきません。私はガラリと雰囲気を変えるために、パッと明るい声を出しました。
「お腹空いたね! ご飯にしよう!」
賑やかな夕飯:さっきまでの怒気はどこへ?
時計を見ると、時刻はもう夜の8時半を回っていました。
「外に食べに行きたいわ」と言うサニーちゃん。しかし、仕事終わりに駆けつけ、さらに大激突の修羅場をくぐり抜けた私は、もう心も体もヘトヘトです。
「冷蔵庫にあるもので食べよう。この前作ったものが、まだたくさん残っているからね」
そう優しく言って、冷蔵庫を開けました。 実は、オネちゃんや私がどれだけ作り置きをして冷蔵庫にしまっても、サニーちゃんはそこに食べ物があること自体を忘れてしまうのです。
「あら、こんなものもあったわ!」「これも美味しそう!」
宝探しのように次々と出てくるおかずたち。おかげで、テーブルの上はあっという間にとても賑やかな食卓になりました。
さっきまでの怒りはどこへやら、サニーちゃんはおいしそうにご飯を食べながら、のんきに言いました。
「美味しいご飯を作ってもらえて、本当に幸せだわ〜」
(……ちょっと待って、ワタシは心の中で叫びたいほど怒りたかったんだけどなぁ!)
心の中でツッコミを入れつつも、激しい嵐を乗り越え、こうして平穏に二人で夕飯を食べている。そんな奇跡のような日常の着地点に、私は心の中で静かに語りかけました。
「よく頑張ったね、ワタシ。本当にお疲れ様」と、自分をめいっぱい褒めてあげながら。
実家を後にして:迫りくる「限界」の足音
仕事での疲れに加えて、サニーちゃんの荒れる気持ちをどうにかこうにか着地させ、実家を後にする頃には、本当にすべての体力を出し尽くした感覚でした。
今回は上手にまとめることができた。お互いに笑顔でバイバイできた。 けれど、帰りの車を運転しながら、暗い夜道の中で確信に近い思いが去来していました。
「もう、サニーちゃんの一人暮らしは限界に来ているんだな……。来週は泊まりにこよう」
そう決意を新たにした私。 しかし、介護の神様はそんなに甘くありません。ホッとしたのも束の間、週明け早々、我が家にはまたまた大きな事件が勃発するのでした……。
(次の事件へ続く!?)

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